
佐々木 裕介(弁護士・行政書士)
「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。
「やっぱり…離婚しよう」そう決めた時がはじまりの一歩
離婚をするということは、あなたの人生に大きな変化をもたらします。その変化に対応するためには、自分の気持ちや状況を整理することが大切です。離婚の理由や原因は何なのか、離婚後にどんな生活を送りたいのか、離婚によってどんなメリットやデメリットがあるのか、などを考えてみましょう。離婚は決して簡単なことではありません。相手との話し合い、離婚する際の手続きなど、やらなければならないことは多く、また、状況によっては様々な問題が発生する可能性があります。そのため、離婚をする前には、十分な準備や情報収集をすることが必要です。相手との関係や財産分与、慰謝料、親権などの問題を解決しなければなりません。
離婚方法によっても対応が異なります。協議離婚の場合は、夫婦間で合意ができれば、離婚条件は当事者で自由に決めることができます。しかし、調停離婚や裁判離婚の場合は、家庭裁判所や裁判官の判断に従わなければなりません。そのため、離婚をする際には、自分のこと、子どものこと、これからの生活のこと、将来の希望等、多岐にわたる視点が必要になるでしょう。
離婚に関する知識や情報を十分に集めて、まずは最適な離婚方法を選ぶようにしましょう。離婚という決断は、あなたにとって決して簡単な選択ではありません。しかし、その決断なくしては、新しい自分の人生を歩みはじめることはできません。その決断をするためには、自分の気持ちや状況をしっかりと把握することが必要です。離婚したいと思ったら、まずは自分自身と向き合ってみましょう。離婚の理由や目的は何なのか、離婚後にどんな幸せを求めるのか、離婚によって想定しうる苦労はあるか、あるとしたらどのように乗り越えていこうか、等を考えてみましょう。
離婚は終わりではなく、新しいあなたの人生を始める一歩にすぎません。あなたが前向きに、明るい気持ちで歩んでいけるよう、前向きに考えて行動してください。
離婚方法
協議離婚
協議離婚では、離婚届にご夫妻が署名押印をして、居住地の役所に届出をすると、離婚は成立します。協議離婚では、ご夫妻が話し合い離婚に合意に至ったのであれば、離婚理由は問われません。離婚するご夫妻の9割が協議離婚をしています。
調停離婚
家庭裁判所に調停を申し立て調停委員が間に入り、ご夫妻の言い分を調整しながら離婚を目指します。また、離婚調停においてほぼすべての条件を決めることができたけれど、些細なことが原因で調停が不成立となりそうな場合に、家庭裁判所の裁判官が、職権で必要な決定を下して成立させる審判離婚も行われることがあります。
裁判離婚
調停離婚がまとまらずに終わった場合、家庭裁判所に離婚を求めて裁判を起こします。相手が離婚に同意していない中で、裁判で一方的に離婚を成立させるためには、法的な離婚理由が必要となります。
離婚の準備
離婚の準備においては、離婚後に住むところ、仕事、子供、お金など様々なことを検討しなければなりません。そして、「いつ離婚をする」という決心が固まれば、相手と養育費等の離婚条件を話し合い、合意することは不可欠です。まずは、今まで夫婦で築いてきた財産や子供のことについて、少なくとも次に掲げる事項を検討しましょう。
- 財産分与(夫婦の共有財産の分配方法と精算方法)
- 慰謝料(損害賠償請求)
- 年金分割(厚生年金が対象)
- 親権者(未成年の子がいるとき)
- 養育費(子どもと離れて暮らす親の義務)
- 面会交流(離れて暮らす親に会う子どもの権利)
- そのほか必要に応じて
財産分与
財産分与は婚姻中にご夫妻で築いてきた財産(プラスもマイナスも含めて)を、どのように分配するかを決めます。協議離婚の場合、その分配方法は家庭の状況に応じて、ご夫妻が自由に決めることができます。夫婦で婚姻中に得たあらゆる財産が対象です。
調停や裁判での離婚になると、「財産を築くのにどのくらい貢献したか」が目安で分けられます。貢献度はご夫妻ともに通常は2分の1というのが原則です。収入を得ていたのが夫のみで、妻が専業主婦の場合でも、財産は二人のもので貢献度も半分ずつです。共有財産がどこにどのくらいあるかしっかり把握しておきましょう。
※預貯金、不動産、自動車、積立型保険、そのほか借金等が対象です
慰謝料
慰謝料は離婚理由となる行為を相手がしたことによる精神的苦痛、またその行為によって破綻することになった精神的苦痛に対して支払われるお金です。例えば、不倫や暴力などによってうけた精神的(肉体的)な苦痛に支払われます。不倫による慰謝料は配偶者だけではなく不倫相手にも請求できます。
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年金分割(厚生年金が対象)
ご夫妻が婚姻中に納付していた厚生年金保険料の記録を離婚時に分割して、その付替を手続きできる法律で定められた制度です。これはあくまでも双方の年金記録を変更する手続きです。つまり、実際に年金を受給できる時期になって、離婚の際に年金分割相当分が納付済みの年金記録に反映されていると、より多くの金額の受給が可能になります。
例えば、ご主人が厚生年金に加入していて、奥様がその扶養に入っていたのであれば、3号分割ができます。
また、お互いに厚生年金に加入している場合であっても、最大5割まで分割することができるのが、合意分割です。。

親権者
婚姻中は父母による共同親権ですが、離婚後は単独親権となるため、離婚するときは父母のいずれか一方を親権者に指定することが必要になります。どちらが親権者になるかが決まっていないと、そもそも離婚は成立しません。
養育費
養育費の支払いは子どもの生活を守るため、離れて暮らす親の義務です。未成年の子どもを世話して育てるのは、親の義務であり、それにかかる費用、つまり養育費もまた負担します。養育費を受け取るのは、お子さまと一緒に暮らす親ですが、養育費はあくまでも子どもの権利です。元配偶者の権利だと勘違いされている方がとても多いので、離婚時には金額やいつまで支払い続けるのか、という支払終期について揉めることが多いです。
しかし、実際上、離婚協議書を作成して公正証書作成までするご夫妻は、まだまだ少ないのが現状です。離婚時に高ぶった感情のまま離婚届を出してしまった、養育費なんてどうせ貰えないと思った、等、取り決めをせずに離婚したために、離婚後に養育費をもらえていないケースが多いのが現実です(令和3年調査によると母子家庭のうち養育費を受給できている割合は28%に過ぎません)。

面会交流
離婚で離れて暮らすことになった親にも、子どもと会ったり連絡を取ったりすることが認められています。これを面会交流といいます。これは離れて暮らす親の権利かつ子供の権利です。
そのため、「養育費を払ってくれなかった月は、面会交流させない!」と、そのような内容を離婚協議書や公正証書に記載の要望を受けることは多く、監護養育して日々育てる親の気持ちは痛いほどよくわかります。しかし、法律上、養育費の支払い義務と面会交流の権利は相対する関係ではありません。すなわち、そのような記載はできないということになります。

離婚後の生活をどう守る?
離婚後の生活を考えることは、離婚準備をすすめる上で重要になります。今の仕事を続けていくのか、または自立した生活を営むために新たな仕事を見つけるのか、新たに始めるならいつから仕事開始できるのか。
住居は婚姻中と同じにするのか、新たに転居するのか。婚姻中と同じ住居に継続して住んでいくためには返済中のローンの負担、また、新たに転居するのであれば契約費用と家賃の負担などが課題になってきます。また、今の住居からの転居を検討するには、子供の通学する学校をどうするかも問題になります。子供の学校を含めて離婚した後の住居について考えていくことで、離婚後の生活に必要となる費用が見えてきます。しっかり検討しておけば、離婚の協議で提示する希望条件が見えてきて、離婚後の生活に対して抱く不安を一つずつ解消していけるでしょう。
住居について
住居に関しては、持ち家(マイホーム)がある場合、金融資産とは違って簡単に分割して分けることができない財産です。住宅ローンが残っている場合どのように整理するのかについても考えなくてはいけません。その住宅にそのままどちらかが住み続けるのか?または売却して半分ずつにわけるのか?ローン付き住宅の財産分与を検討するなかでは、住宅ローンを借りた金融機関と調整することが必要になります。もし、住宅の所有権を移転したり、ローンの負担者を変更するのであれば、離婚協議書や公正証書に記載しておく必要があります。また子どもがいる場合、住居環境は大変重要になります。離婚後の住居をどうするかは、離婚後の生活を考える上で重要な課題です。
子どもについて
離婚届を提出する時期が、子どもの新学期、また学年が上がる時期と重なることがあります。夫婦の離婚に伴って子どもの転校を余儀なくされることもあります。お友達との生活や学校生活が中心の子どもにとって転校することは一大事です。そのため、子どもへの影響を配慮し離婚届を提出する時期を調整することもあります。また、子どもに離婚することを伝えることで不安感や罪悪感を覚えないように伝えなくてはいけません。そして、自分が親権者になりたいかどうか考え、親権者になりたい場合は準備を進めましょう。親権者になりたいと考える場合、何より重要なのは子どもと一緒に生活することと子どもを手放さないようにすることです。別居の際は、子どもを置いて家から出ない、逆に相手が家を出るときは子供を渡さないことが大切です。一度子どもと離れてしまうとあとで引き取りたいと思っても拒否されるケースが多いです。
公的扶助の確認
離婚の準備を進めるにあたって、市区町村の窓口に足を運んで、もし離婚した場合に受けられる公的扶助の制度の詳細についても確認しておくことをおすすめします。離婚後の生活に不安を感じるのは当然ですが、そうした情報を事前に把握しておくことで、少しでも不安を軽減させることができます。
まずは、ご夫妻で冷静に話し合うこと
協議離婚のメリットは、費用と手間がかからない、合意すればすぐに離婚できることです。けれど、感情を優先させ財産分与や養育費のことなど取り決めずに離婚すると、あとでトラブルになりかねません。また、相手は自分が不利になるようなことは敢えて言わないでしょう。そのため、離婚した後に自分と子どもが損している、さらに自分だけが大きな経済的負担を抱えていることに気づいても、「知らなかった」「そんなこと言ってくれなかった」等と訴えたところで、相手は取り合うことはないでしょう。そうならないためにも、離婚はしっかりと自分事として捉え、さらに子どもの未来を守る手段が必要だ、と認識した上で、離婚についての情報収集が非常に大切になってきます。
財産分与は二人で半分ずつ財産を分ける「2分の1ルール」があり、慰謝料の額は離婚の理由によって変わります。しかし、これらは協議離婚では話し合い次第で自由に決めることができます。
離婚協議書
ご夫妻で決めた離婚条件などは、離婚協議書にまとめた上で公正証書にします。離婚するとき、離婚をすることになった相手と取り決めた離婚契約内容は、口約束だけで済ませず、必ず離婚協議書にすることをお勧めします。のちに養育費の不払いがあっても、口約束だけでは泣き寝入りするしかありませんが、離婚協議書があれば裁判になった時にも合意の証拠になります。
離婚協議書はご夫妻で作成しても問題ないですし、もしご夫妻だけの合意だと法律的にはどうなのだろう?といった不安がある場合には、法律の専門家(弁護士・行政書士)に依頼する方法もあります。離婚協議書は記載内容も書式も自由ですが、おもに親権者、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料などについての決定事項を具体的に書きます。離婚協議書を作成することで、お互いの合意事項を明確化できます。
また、養育費等の不払いがあった際には、裁判等を経ずに、直ちに強制執行をすることができるのが強制執行認諾約款付公正証書です。この公正証書は離婚協議書をもとに、公証役場の公証人に作成してもらうことができます。
強制執行認諾約款付き公正証書
公正証書は国の公証制度に基づいて公証役場という法務省に属する機関で作成される公文書です。この公正証書の作成は公証人のみが行うことができます。強制執行認諾約款とは、「ここに記載されている金銭の取り決めに不履行があった場合、支払債務者(養育費等を支払う人)は給料の差し押さえ等を受けることに合意している」と認めるものです。
また、ご夫妻の自由な合意を取り決めすることができますが、もしその内容が、法の趣旨に反する、公序良俗に反する、等、法律上記載することができない内容であった場合は、公証人はその内容を記載しません。法律の専門家を介して公証役場に依頼すると、専門家が正しい内容にしてから公証役場に依頼してくれるでしょう。しかし、もしそのような法律上問題のある離婚協議書を公証役場に提出すると、離婚協議書の作り直しをして改めるよう依頼を断られることになります。なお、公証人は「どこに問題があるのか?どうすれば良いのか?」等の説明する義務はありません。
離婚協議書と公正証書の必要性
シングルマザーのうち養育費を実際に受け取れている人の割合はたったの約28%です。たとえ離婚後養育費の支払いが始まったとしても、これが引き続き10年近く安定して続くでしょうか?またいつか相手が「再婚した。」「転職して給与が減った。」などの理由で支払いが止まるのではないかという不安を毎月抱えながらの生活はかなりのストレスになります。せっかく苦労して離婚が成立しても、離婚した相手に再び悩まされては、本末転倒と言えるでしょう。やはりそのようなストレスをなくすため、強制執行認諾約款付きの公正証書を作ることをお勧めいたします。
養育費保証会社に加入

離婚前離婚協議書や公正証書を作成することで養育費の確実な支払がされるよう対策します。しかし、実際に養育費を受け取るのは、あなた自身です。子どもが成人するまでの間、毎月元配偶者から支払いがあったのか、確認しなくてはなりません。もしも支払いがなかった場合には、あなたが元配偶者に対して催促を行い、必要に応じて強制執行の申し立てを行わなくてはなりません。これらのことは、時間的にも経済的にも精神的にも負担が大きいことです。
そこで、養育費保証会社に加入するという選択肢もあります。養育費保証会社とは、離婚後に子どものために養育費を受け取る人が、養育費保証会社と契約を結ぶことで、養育費の支払いを保証してもらうことができる会社のことです。
メリット
養育費保証会社に加入することのメリットは、以下のとおりです。
- 養育費保証会社は、あなたに代わって債務者に養育費を請求します。あなた自身に支払われる養育費は養育費保証会社から支払われます。そのため、債務者から支払いが行われているかという不安から解放されます。
- もしも債務者からの支払いが止まっても、1年間は養育費が保証されます。つまり、養育費保証会社があなたに養育費を払い続けます。
- 養育費保証会社の弁護士が、強制執行の手続きを行います。弁護士を探すという手間や費用もかかりません。
- 現在一部の自治体では、養育費保証を契約する際の初回手数料を支援しています。初回手数料は、養育費の1か月分程度です。
手数料
毎月、養育費の3%(2,000円に満たない場合は2,000円(税抜))の手数料3%が必要です。
この手数料により養育費を支払う側の金額は変化しません。支払われる側の金額から3%引かれた状態で振り込まれるというシステムです。
離婚するときには、養育費の支払いに関して、離婚協議書を公正証書にすることや、養育費保証会社に加入することなど、様々な選択肢があります。これらの選択肢のメリットやデメリットをよく理解し、自分にとって最適な方法を選ぶことが重要です。離婚に関する法律や手続きは複雑で難しいことが多いので、弁護士や行政書士などの専門家に相談することもおすすめします。
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