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佐々木 裕介
チャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所 代表
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慰謝料を請求されたら放っておいて大丈夫?詳しく解説します!

手紙を開ける女性
この記事の監修

佐々木 裕介(弁護士・行政書士)

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「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。

夫が不倫しているという衝撃的な事実を知ったら、あなたが不倫相手に慰謝料を請求する権利もあります。しかし、その逆もまた然りです。不倫相手の配偶者もあなたの夫に慰謝料を請求する権利があります。夫と離婚してこの問題を自分とは切り離すのもいいと思います。けれど、もし離婚せずこの問題を夫婦で乗り越えるとしたら、どうしたらいいのか?離婚するかしないかはあなたの自由な判断です。どちらにしても、この問題に対処するには冷静さと勇気が必要です。今回は夫が不倫していて慰謝料を請求された時の考え方や対応策についてお話します。もちろんあなた自身が不倫していて慰謝料を請求されている場合もご参考になさってください。

目次

まずは冷静になろう

不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されたら、パニックになってしまうかもしれません。しかし、そんなときに焦って相手と話をするのは、とても危険です。 なぜなら、相手は不倫の証拠をしっかりと揃えてから慰謝料を請求してくるからです。 慰謝料の額や支払い方法は、相手の主張によって変わりますが、一般的な基準があります。その基準に沿って対応すれば、和解を早く終わらせることができます。 ですから、まずは落ち着いて、自分の状況と対策を考えましょう。

差出人はだれなのか

大概の慰謝料請求は内容証明郵便できます。請求金額も大切ですが、誰が差出人なのかも大切です。差出人は次の3パターンが考えられます。

  • 1本人
  • 2(相手の相談・依頼を受けた)行政書士
  • 3(相手の相談・依頼を受けた)弁護士

1本人

本人が差出人の場合は、まだ専門家に相談していないと考えられます。この場合、感情的なものが多いです。感情的な相手に対して軽はずみに対応してしまうと、問題を悪化させてしまうこともあります。そうなると、金額交渉などもうまくすすみません。こちらは、冷静になり、相手が何を一番求めているのか考えましょう。もしかしたら、金銭的なものではなく真摯な謝罪を一番求めているかもしれません。

2行政書士

差出人が行政書士であることも考えられます。この場合、相手は裁判を望んでいない可能性が高いです。なぜなら、行政書士は紛争案件の仕事は法律上できません。また、代理人にもなれません。相手は早急に示談して慰謝料を支払って欲しいと考えているかもしれません。こちらも、早急に対応するのが得策でしょう。誠実に早急な対応をすれば、もしかしたら「慰謝料減額」の要求も呑んでくれるかもしれません。

3弁護士

弁護士が差出人の場合は、相手は譲歩する気はないと考えた方がいいでしょう。裁判も視野に入れているということです。こちらも弁護士をたてて慎重に対応すべきです。なぜなら、弁護士相手に個人が交渉することは難しくこちらが有利な結果をだすことはできません。また、差出人の弁護士は多くの場合、請求額を多めに設定してきます。これは、依頼人の気持ちを配慮していることに加え、こちらが減額請求してくることも視野にいれているからです。早めに弁護士に相談しましょう。

相場はいくら

不倫慰謝料の相場は100万円から300万円程度です。もちろんケースバイケースです。不倫期間、妊娠の有無、さまざまな事柄により金額はかわってきます。

本当に支払う義務があるの?

そもそも本当に支払う義務があるのか考えます。法律上不貞行為とみなされるのは性的な関係にあった場合です。単にデートをした、手を繋いだ、では不貞行為にはならず慰謝料請求できません。また、以下の場合も不貞行為とはいえず、慰謝料支払いを拒否することができます。

1性的な肉体関係がなかった。

法律上不貞行為とされるのは性的な肉体関係がある場合のみです。どんなに親しく交際していても、肉体関係がなければ不貞行為にはなりません。

2不倫相手が既婚者だと知らなかった

肉体関係はあっても、相手に配偶者がいることを知らなければ、慰謝料の支払いを拒否できます。しかし、もし相手が既婚者だと気づく機会があったのにもかかわらず、気づかなかったのだとしたら、こちらに過失がありますので慰謝料請求は拒否できません。

3相手の夫婦関係が破綻していた

不倫関係が始まった時、すでに相手の夫婦関係が破綻していたならば、慰謝料請求を拒否できます。不貞によって慰謝料が発生するのは、不倫関係が原因で相手の夫婦関係を破綻させていることに違法性があるからです。すでに破綻していたのであれば、不倫と夫婦関係の破綻に因果関係はありません。

4自分の意思で肉体関係をもっていない

たとえ相手が既婚者で、性的な関係になってしまったとしても、強要されてそのような関係になってしまった場合は慰謝料は拒否できます。また、強姦された場合や脅迫された場合も同様です。

5慰謝料請求権がすでに時効によって消滅している

【民法第724条】


不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1号 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
2号 不法行為の時から20年間行使しないとき。

つまり、「不倫相手がだれかを知った時から3年」慰謝料を請求していなければ、時効によって消滅しています。また、不倫の事実を全く知らなくても不貞行為の時から20年慰謝料請求しなければ、慰謝料請求権は消滅しています。

請求された時期が大切になります。不倫関係が3年以上前であれば慰謝料請求を拒否できる可能性があります。

減額可能なケース

以下の場合慰謝料が減額できることもあります。

1相手の夫婦が離婚・別居しなかった。

相手が、離婚・別居しなければ、慰謝料が減額されます。それは、不倫によって相手の夫婦関係を破綻させていないと考えられるからです。不倫で慰謝料が発生するのは、不倫という不貞行為により相手の夫婦関係を破綻させているからです。

2相手夫婦の婚姻期間が短い

相手の婚姻期間が短い場合慰謝料の減額される可能性があります。不倫慰謝料は婚姻期間年数に比例して高くなるからです。

3相手夫婦に子供がいない

不倫の慰謝料には相手に子供がいるかいないかで慰謝料がかわります。いるならば未成年なのか年齢いくつなのかによって慰謝料が高くなります。反対に子供がいなければ、減額交渉の余地があります。

請求されたら心がけること

  • 1慰謝料請求を無視しない
  • 2感情的にならない
  • 3安易に示談書にサインしない

慰謝料請求を無視しない

慰謝料請求は放置また無視をしてはいけません。放置しつづけると、相手は慰謝料請求するために裁判をおこす可能性があります。裁判になった場合、放置したことが不倫を反省していないとなり不利になります。不倫の慰謝料請求がきた場合、放置して解決されることはありません。早めに対応することを心がけましょう。

感情的な対応はしない

相手の態度がどんなものであろうと感情的に対応してはいけません。感情にまかせた発言によっては、相手をより怒らせて慰謝料増額という方向に話が進む可能性や、職場や家族にばらすという行動をとられかねません。相手は既に怒っていますし、怒っていて当然ということを忘れてはいけません。

安易に示談書にサインしない

どんなに相手に強く求められても、納得してからでないと示談書にサインしてはいけません。一度サインしてしまうと、その内容を翻すことは難しくなります。金額や内容など、自分が納得できてからサインしましょう。

チャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所

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