佐々木 裕介(弁護士・行政書士)
「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。
不倫の相手と示談するときには、示談書を作ることが一般的です。示談書とは、不倫の事実や慰謝料の金額、支払い方法などを書いた契約書のことです。しかし、示談書だけでは、相手が約束を守ってくれる保証はありません。特に慰謝料を分割払いにする場合は、相手が途中で支払いをやめたり、遅れたりする可能性が高くなります。そうなると、あなたは、また苦しむことになりますし、示談した意味がなくなってしまいます。だからこそ、示談書を公正証書にすることが大切です。今回は示談書を公正証書にする大切さをお話したいと思います。
示談書作成の意味
示談とは、トラブルが起きたときに、相手と合意して解決することを言います。示談が成立したら、その内容を示談書という契約書に書きます。不倫の場合も、示談書を作ります。示談書には、不倫で支払う慰謝料の金額や支払う方法、不倫関係を終わらせること、他の人に秘密にすること(守秘義務)などを書きます。示談書を作っておくと、不倫問題が解決したことになりますし、同じ問題が再び起こるのを防ぐことができます。慰謝料を受け取る側は、示談書で自分の権利を確保することができますし、相手に不倫をやめることを約束させることができます。一度示談が成立したら、もうこの問題を取り上げることはできません。その為、不倫問題の解決には示談書の作成が大切です。
慰謝料の支払い
不倫などの不貞行為をした配偶者や不倫相手には、慰謝料を請求できます。慰謝料は、不倫や浮気の期間や回数によって変わりますが、一般に100万円から300万円とされています。高いときは500万円になることもあります。 しかし慰謝料を払う側は、一度に払うことができない場合もあります。本当に払えないのかどうか、相手の財産を調べるのは難しいですし、無理に払わせようとすると、問題が解決しないかもしれません。 そうなると結局、慰謝料を分割で払ってもらうことになります。本体は一括で払ってもらうことが望ましいのですが、仕方がないときは分割で支払ってもらうしかありません。 しかし、慰謝料をもらう側は、相手を信用できません。不倫されて傷つけられているからです。その為、分割で払ってもらうときは、滞納されないように注意しなければなりません。その対策の一つとして示談書を公正証書にします。
公正証書にする意味
公正証書とは、公証人が法律に従って作成する公文書のことです。公正証書には、強い証明力や執行力があります。証明力とは、契約の存在や内容が正しいことを裁判で示すことができることです。執行力とは、契約を守らない相手に対して、裁判をしなくても強制執行(相手の財産を差し押さえること)ができることです。これらの効力は、公正証書に「強制執行認諾文言」が記載されている場合に限ります。公正証書で契約をすれば、お金の支払いが確実になりますし、相手も約束を破らないようにするでしょう。
たとえ、相手が途中で払わなくなっても、裁判をしなくてもお金を取り戻すことができます。ただし、公正証書で示談契約をするには、相手も同意しなければなりません。
公正証書のメリット・デメリット
公正証書の作成にはメリットもありますがデメリットがあります。以下にまとめてみました。
メリット
証拠として価値が高い
不倫慰謝料の示談書作成したとしても、成立の真正が争われてしまうことがよくあります。これに対して証拠力が高いのが、公証人が法律に従って作成する公文書です。公正証書は公文書に当たり、私文書比べて偽造の恐れは小さく、証拠としての価値が高いといえます。
執行力
執行力とは、裁判所の力を借りて相手の給料や預金などを取り上げて、お金をもらうことができる法律上の効力のことです。 不倫相手は、慰謝料を払う約束をしても、言葉だけで実際に払わないことがよくあります。 このような場合、自分たちで作成した示談書だけでは、裁判した上で相手の財産をさし押さえることになります。 しかし公正証書作って「強制執行認諾文言」を入れておけば、裁判をしなくてもすぐに相手の財産を差し押さえることができます。
デメリット
費用が掛かる
不倫慰謝料の示談書を公正証書で作成するためには、公証役場へ費用(手数料)を支払う必要があります。その額は、公正証書に記載する慰謝料額に応じて以下のように決まっています。
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
相手の同意が必要
公正証書を作成するときは、不倫相手と一緒に公証役場へいき手続きしなければいけません。
作成時間がかかる
最初に公証役場に行ってから、公正証書の完成まで1,2週間はかかると考えた方がいいでしょう。
公正証書には作成に手間と時間、費用もかかりますが、効果のあるものです。慰謝料が分割になった場合には検討してみましょう。
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