
佐々木 裕介(弁護士・行政書士)
「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。
配偶者が不倫していることを発見したとき、とても辛い気持ちになるでしょう。動揺したり、悲しみで泣いたり、怒りで叫んだりするかもしれません。それらの感情は自然な反応ですが、そのままにしておくと、あなたの精神的な健康や生活に悪影響を及ぼす可能性があります。だからこそ、感情に流されずに、冷静になって問題を解決する方法を考えることが必要です。例えば、配偶者と話し合ったり、法的な手続きを行ったりすることができます。どの方法を選ぶかはあなた次第ですが、自分の幸せのために、前向きに行動することが大切です。今回は不倫を発見した後、どのように行動すべきか具体的にお話していきたいと思います。
不倫の定義と不貞行為
「不倫」とは、配偶者がいるにも関わらず、配偶者以外の異性と性的な関係を持つことです。
「一緒に食事に行った」「キスをした」などでは「不倫」にはならず民法770条の不貞行為とはみなされません。
つまり、配偶者が自分とは別の異性と肉体関係がなければ慰謝料請求や離婚請求は法律上できません。
~以下参考条文~
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
民法
不倫の証拠集め
では、肉体関係があったかどうかどのように証明したらいいのでしょうか?これには証拠集めをしなければいけません。ではどんな方法で証拠を集めたらいいのでしょうか?
方法
不倫で慰謝料を請求するためには、不倫の証拠を集めておかなければなりません。方法は2通りあります。
- 自分で集める方法。
- 探偵など専門家に依頼する方法
どちらの方法を選ぶかはあなた次第ですが、どちらにも注意が必要です。
1つ目の自分で集める方法の注意点は、配偶者に証拠を集めていることを気づかれる恐れがあります。配偶者に証拠集めをしていることが気づかれると、相手はさらに守りを強固にしてしまいます。すると、証拠集めをすることが難しくなるでしょう。また、集めた証拠が裁判で使えない弱い証拠ばかりになってしまう恐れがあります。集めた証拠が裁判で使える強い証拠かどうか判断することはなかなか難しいことです。
2つ目の探偵など専門家に依頼する方法の注意点は、依頼する業者を選ぶことが難しいことです。その業者が法律を守っている信頼できる業者なのか、なかなか自分で判断することはできません。
不倫の証拠になるもの
1動画・写真
性行為をしているときの動画・写真は証拠になりますが、デート中の動画・写真は証拠としては弱いです。
2領収書
ラブホテルの領収書などは証拠として強いです。
3肉体関係を認めた謝罪文
謝罪しているだけでは証拠として弱いです。いつ、どこで肉体関係をもったのか具体的に謝罪している文面であれば証拠として強いです。
4mailや携帯の通話内容
単に仲が良いだけの内容では証拠として弱いです。宿泊内容や肉体関係をにおわせる内容のものが証拠として強いです。
5クレジットカードの明細
デートの際、レストランやテーマパークの支払いをしている明細の記録があれば証拠になります。
不倫相手への対応
不倫が確実とわかり相手も判明したら、不倫相手にはどのように対応したらいいのでしょうか?もちろん、なにも対応せず知らなかったことにすることもできます。しかし、気持ちがおさまらないのなら、法律上不倫は不貞行為と認められますので慰謝料を請求することができます。あなたの精神的苦痛は法の力で癒すことができるのです。慰謝料を請求する場合のながれは次のようになります。
- 内容証明郵便を送る
- 示談書作成する
- (示談できなければ)裁判をする
内容証明郵便を送る
内容証明郵便という郵便局の証明サービスで今回の不倫についてこちらがどのような対応を考えているか伝えることができます。内容証明郵便で送ることにより、後々裁判になった場合自分がこの不倫に対してどんな行動をとったのか証拠になります。また、相手にかなりのプレッシャーを与えることができます。内容証明郵便は普段やりとりされる郵便とは違いますので、こちらがどれだけ本気で対応しているのかも伝わります。放置すると裁判をおこされるのではないかという気持ちにさせます。

示談書を作成する
内容証明郵便が効果を発揮して、相手が裁判をせず慰謝料を支払うことに同意したならば、示談書を作成します。

裁判をする
内容証明郵便を送っても相手の対応がなかったり、慰謝料に同意をしない場合は裁判をします。裁判をする場合弁護士に依頼することをお勧めします。
配偶者との関係
では配偶者との関係はどうしたらいいのでしょうか?そのまま婚姻関係を続けることも可能ですが、離婚することも可能です。話し合いで離婚が成立するなら協議離婚になります。夫婦間で慰謝料や養育費、財産分与などの話し合いをし離婚します。

たとえ相手が離婚を拒んだ場合でも、不倫された側が望めば離婚は可能です。法律上不倫は不貞行為にあたりますので、裁判をすれば離婚が認められます。逆に、不倫した側が一方的に離婚を望んだ場合はどうなるのでしょう。不倫した側は「有責配偶者」になりますので、裁判しても離婚が認められることは簡単ではありません。
もちろんすぐには離婚せず別居という選択もあります。

慰謝料請求
不倫は、不倫した配偶者とその不倫相手による共同不法行為です。そのため不倫されたあなたは被害者で、不倫した男女二人が加害者となります。つまり、不倫相手だけでなく配偶者に対しても不倫慰謝料を請求することができます。ただし、両者から受け取る慰謝料は、不倫慰謝料の全体額を上限としますので、二人に慰謝料請求をすれば合わせて2倍の慰謝料額を受け取れるわけではありません。そして不倫に対する慰謝料の額は、不倫により夫婦が離婚するかしないかで変わります。不倫が発覚しても離婚しないときは、離婚するときよりも不倫で受けた精神的な苦痛が小さいと考えられ、離婚する場合の半分くらいの慰謝料額になるとされます。
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