不倫や浮気というのは、どういうことでしょうか。それは、自分が結婚している人(夫や妻)以外の人と性的な肉体関係を持つことです。法律では、このような行為を「不貞行為」といいます。 夫婦は、結婚するときに、自分の夫や妻だけを愛するという約束をします。これを「貞操義務」と言います。婚姻届を出さなくても、同棲している夫婦にも、この約束があります。 不倫や浮気をすると、夫婦の約束を守らないことになります。法律では、このような行為は「不法行為」と言って、罰せられることがあります。離婚の理由にもなります。 不倫や浮気は、様々な問題になります。周りの人にバレたら、家族や仕事に大きな影響が出ます。女性は、妊娠してしまうかもしれません。不倫や浮気が原因で離婚した夫婦も多いです。あなたの身近な人にも、不倫や浮気をしている人がいるかもしれません。 不倫や浮気をした人は、自分の夫や妻に対して、その行為の責任を取るために金銭的な補償を行うことで不倫に対する許しを求めることがあります。これを「慰謝料」と言います。
佐々木 裕介(弁護士・行政書士)
「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。
故意または過失
民法709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法
不倫や浮気をすると、法律で罰せられることがあります。その場合、不倫や浮気の相手にもお金を支払わせることができます。しかし、それは、不倫や浮気の相手に夫や妻がいることを知っていた場合や、知らなくても普通なら気づくべきだった場合に限ります。これを「故意」や「過失」と言います。 「故意」とは、わざと悪いことをすることです。例えば、自分の相手が結婚していることを知っていながら、不倫や浮気をする場合です。 「過失」とは、うっかり悪いことをすることです。例えば、自分の相手が結婚していることに気づけるはずなのに、不注意で気づけなかった場合です。 このように、「故意」や「過失」があったかどうかが重要です。もし、不倫や浮気した夫や妻が独身だと嘘をついていたら、不倫や浮気の相手に法的責任を問えるかどうか問題になります。
不倫で慰謝料を請求する際、重要なことは「故意」や「過失」があったかどうかです。
「故意」は一定の結果が発生すると認識していながらあえてその行為をすることです。つまり、わざと悪いことをすることです。
「過失」は注意義務を怠っていたため、その結果を発生させてしまうことです。つまり、注意義務違反ということです。
不倫相手にも請求できる
慰謝料は、不倫や浮気の相手にも支払わせることができます。しかし、不倫や浮気の相手は、「相手に夫や妻がいることを知らなかった」または「離婚するつもりだったと聞いていた」などと言って、お金をの問題から逃れようとすることがあります。 しかし、そういったことは通用しません。 不倫や浮気をした夫や妻だけでなく、その相手も悪いことをしたと法律では考えます。これを「共同不法行為」と言います。 つまり、不倫や浮気をされた人は、夫や妻とその相手の二人に対してお金(慰謝料)を請求することができます。
※二重に請求できるという意味ではありませんので注意しましょう。
例えば総額が150万円なら、配偶者と不倫相手から総額150万円の慰謝料を請求できるということです。
慰謝料の支払い
不倫や浮気をされたら、法律でお金(慰謝料)をもらえます。それは、夫婦の仲が壊れたり、心が傷ついたりすることは、元に戻すことができないからです。 不倫や浮気をした夫や妻とその相手には、自分の苦しみに対してお金(慰謝料)を払ってもらいます。お金だけですべてを解決することは出来ませんが、法律に基づく現実的な解決方法としては、自分の受けた精神的損害の程度を金銭の額に評価・換算して、それを慰謝料として支払い、気持ちを鎮めます。
また、お金をもらわなくてもいいから、不倫や浮気をした人に謝ってほしいと思う人もいます。 このような人は、不倫や浮気の相手と話し合って、不倫や浮気をやめることを約束させます。この場合、お金を払うことは一旦後で決めることにして「慰謝料 示談書」を書いてもらいます。
相手が未成年者の場合
万が一、夫または妻の不倫相手が未成年だった場合はどうなるのでしょうか?たとえ相手が未成年でも慰謝料の請求ができます。未成年だと責任能力が心配ですが、仕事をしている社会人であれば責任能力があると判断され、慰謝料請求ができます。民法では、およそ12歳以上であれば責任能力があると認められています。
親に責任はあるの?
相手が未成年の場合、支払い能力が心配になるとおもいます。そのため親に責任を問いたくなりますが、不倫の責任は本人だけが負うものです。親に責任をおわせることは法律上認められていません。
不倫の事実があるのかないのか・・・
そもそも、不倫していることが事実なのか?不倫相手はだれなのか?これらを曖昧なまま慰謝料請求の話をもちだすと、実は不倫していなかったり、そのことが原因で夫婦仲が悪化したりしては問題です。まずは、本当に不倫・浮気をしているのか可能性を自分でチェックしましょう。例えば携帯電話をあまり見せなくなったり、どこへ行くにも手放さなかったり、通話料が増えていたり、履歴を消していたり、仕事の出張が増えたり、残業が増えたり、帰ってきたら香水の匂いがしたり、突然の出費がふえたりなど傾向が複数みられたら不倫・浮気の可能性も考えられます。ただ、具体的に調査や証拠集めをする理由にはなります。
すでに夫婦仲が悪かった場合
実はすでに夫婦仲が破綻していると、不法行為は成立しません。この場合、夫や妻が他の相手と性的な関係をもっても、そのことが夫婦関係を壊すことにはならないので、不法行為は成立しません。そこで慰謝料を請求するとき、夫婦の仲がどうだったかが大事です。夫婦の仲がどうだったかは、一概には言えません。ケースバイケースです。夫婦が別れる前提で別居してから、他の人と付き合い始めたら、それは明らかです。しかし、夫婦が一緒に住んでいる状態の時は、外から見てもわかりにくいです。また、夫婦が別居していても、仲が悪くなっているとは限りません。
配偶者が不倫をしていても、既に夫婦関係が破綻している場合は、「不法行為」は成立しません!!
慰謝料はどう決まる?
慰謝料は、裁判にならない場合、自分と不倫相手で話し合って決めます。裁判になった場合は、裁判官がいくつかのポイントを押さえ金額を決めます。例えば、不倫の期間・頻度・状況、夫婦の婚姻期間と年齢、夫婦の関係などです。これらを考慮して裁判官が慰謝料を算定します。万が一不倫や浮気が原因で離婚したら、被害者の損害が大きくなるため慰謝料の金額は高くなります。そのため、不倫が原因で離婚したかどうか、慰謝料を決めるときには重要です。
慰謝料の請求方法
1訴訟(裁判)を起こす
2自分たちで解決(裁判外)する
不倫相手に慰謝料を請求する方法は、上記の2つの方法に分けられます。しかし、慰謝料請求裁判は時間がかかりますし、弁護士に多額の弁護士費用を払わなければなりません。 また、裁判の結果慰謝請求が認められるかどうか、慰謝料がいくらになるかは、裁判が終わるまでわかりません。その間の精神的負担も大きなものになるでしょう。その為、最初から裁判をするという方法もありますが、裁判をする前に自ら相手と話し合って示談金による解決をする場合も多いです。
訴訟に限らず不倫問題を解決するためには、まず不倫相手に慰謝料の支払いを求める意思を伝えます。その方法として、不倫相手と直接会って話し合う方法、直接は会わず内容証明郵便で慰謝料を払ってほしい旨をつたえる方法、弁護士の交渉をお願いする方法があります。どの方法を選ぶかは慰謝料を請求する側で判断します。裁判を起こさず自分で解決する方法は相手ともめることがなければ、時間的に一番早い解決方法です。
不倫相手と示談が成立したら
不倫相手と示談が成立した時は、口だけではなく、示談書で残しておいた方がよいです。 そうしないと、時間がたってから、約束したことを忘れたり、違うことを言ったりするかもしれません。 それでは、後でまたトラブルになります。 示談書には、お金の額や支払い方法などの約束事を書きます。 それに加えて、不倫や浮気の相手には、秘密にしておくことや、二度としないことなども約束させます。 夫婦が離婚しないで仲直りするときは、不倫や浮気の相手に別れることも約束させます。
お金を一度に払わないで分けて払うときは、契約書という書面も作ってもらいます。 契約書には、分けて払う回数や期日などを書きます。 そうしないと、途中でお金を払わなくなるかもしれません。さらに公正証書にしておくと安心です。 公正証書は、公証人(法律の専門家)が作る書面です。 公正証書は、裁判所が認める強力な証拠になります。 示談書や契約書や公正証書は、後でまたトラブルが起きたときに役立ちます。 その書面を見せれば、「こんな約束したことはない」と言われる心配がありません。
慰謝料請求権の消滅時効
不倫の慰謝料は不倫の事実と不倫相手がだれかを知ってから3年以内に請求しないと時効により慰謝料請求権が消滅します。また、最後の不倫行為から、20年経過しても、慰謝料請求権が認められなくなります。
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