
佐々木 裕介(弁護士・行政書士)
「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。
離婚協議書とは、離婚するときに決めておくべきことを全部書いたものです。例えば、子どもの親権や養育費、財産分与や借金の返済など、離婚後の生活に関わることを全部確認しておくことで、後でトラブルにならないようにするためのものです。子どもがいる場合は、養育費の支払いがすぐに必要になりますから、離婚届を出す前にしっかりと決めておくことが大切です。養育費の支払いは長期にわたることが多いので、公正証書という法的な効力のある書類にしておくことがおすすめです。公正証書にしておくことで、相手が養育費を払わなくても強制執行できるようになります。他にも決めておきたいことがあれば、自分たちで話し合って離婚協議書に追加しておきましょう。
離婚協議書に書く内容とは
まず、財産分与とは、夫婦で共有していたお金や家や車などの財産を分けることです。離婚慰謝料とは、浮気や暴力などで離婚の原因を作った方が、相手に心の傷を癒すためのお金を払うことです。年金分割とは、結婚していた間に払った厚生年金を、夫婦で半分ずつもらえるようにすることです。
子どもがいる場合は、親権・監護権というのがあります。これは、子どもの面倒を見る権利と義務を持つ親を決めることです。養育費とは、親権・監護権を持たない方が、子どもの生活費や教育費などを払うことです。面会交流とは、親権・監護権を持たない方が、子どもに会ったり遊んだりすることです。婚姻費用の清算とは、別居している間にかかった生活費や家賃などを払っていない方が、払うべき分を支払うことです。
上記以外の約束ごととは、住宅ローンや住宅の使用権など、夫婦で話し合って決めたことです。
もし、これ以外のこともあれば、夫婦で話し合って離婚協議書に書いておきます。
離婚条件は夫婦ごとのオーダーメイド
離婚協議書に書く条件は、夫婦によって違うものです。それぞれのご家庭の状況や考え方に合わせて決めていくことができます。例えば、養育費の支払いは、子どもが20歳になるまでとする人もいれば、高校や大学を卒業するまでとする人もいます。子どもの進学に対する考え方は人それぞれですから、養育費の支払い期間も自分たちで決めることができます。財産分与も、基本的には夫婦で半分ずつ分けるというルールがありますが、必ずそうしなければならないわけではありません。収入が少ない方に多めに財産を渡すということも、よくあることです。離婚協議書は、夫婦の自由な契約ですから、自分たちの納得のいく条件を話し合って決めましょう。
住宅ローンはどうなる?
離婚するときに、住宅ローンのことが問題になることがよくあります。住宅を買うときに、夫婦で一緒に借りたり、どちらかが保証人になったりすることがあります。でも、離婚した後もそういう関係を続けるのは、現実的には難しい。離婚するときには、夫婦の経済的なつながりもなくなることが多いため、すぐに残債整理ができない場合は、将来的にどうするかを考えておく必要があります。
離婚するときには住宅ローンの契約を見直したり、住宅の持ち主を変えたりすることになります。その方法をどう決めるか、そして離婚協議書にどう書くかが難しい課題になります。住宅ローンの契約を整理する方法は、決まった方法があるわけではないので、離婚する時に悩むご夫婦がとても多いです。
公正証書という選択
離婚するときに、養育費などのお金の支払いの約束がある場合は、公証役場で公正証書を作ることが多いです。公正証書を使うメリットは、将来に続く支払いが安全になることです。具体的には、公正証書は条件を満たすと、支払いが遅れたり、未払いがあった場合には、支払い義務のある方の給料や財産を差し押さえることができます。公正証書で差し押さえができるように作っておくと、もし支払いが滞ったとき、裁判をしなくても、公正証書を使って手続きをすれば、支払うべき人に強制的にお金を取れます。
公証役場で公証人の面前で離婚条件の確認や署名押印などがあり、実際に差し押さえをする法的効力があることを知っていれば、支払うべき人はお金をちゃんと払うようになるでしょう。なぜなら自らが勤める会社に裁判所から支払い命令が来て、給料を差し押さえられたら、会社での信用を失いかねず、さらにはいずらくなってしまいますよね。そのような状態にならないように、養育費の支払いや財産分与や慰謝料の分割払いがあるときは、予め公正証書で離婚条件の内容を作成してから離婚届を出すのが賢明です。
ご夫婦の合意を定めた離婚協議書だけでは、離婚条件の確認資料として裁判上で証拠とすることはできます。しかし、離婚協議書は公正証書のような債務名義ではないため、支払いが滞ったときに相手の給与や財産を差し押さえするには、裁判をして判決をもらわないといけません。
分割払いには公正証書がおすすめ
養育費や財産分与や慰謝料を分割で払う場合は、公正証書にするのがおすすめです。公正証書にすると、支払いが滞ったときには、裁判をしなくても強制的に取り立てることができます。しかし、公正証書にしたところで、そもそも差し押さえる給与や財産がない場合には、不払いのお金を回収することは難しいでしょう。公正証書のことを間違って書いている情報もありますので、お気をつけください。
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