佐々木 裕介(弁護士・行政書士)
「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。
離婚するときには、養育費や財産分与などの条件を決めて、離婚協議書というものを作ることができます。離婚協議書は、法律で必要とされているわけではありませんが、とても大切なものです。なぜなら、離婚協議書には、離婚後の生活に影響する大事なことが書かれているからです。
これらのことは、夫婦がお互いに約束したことですから、守るべきことです。でも、約束したことを書いておかないと、あとで困ることがあります。例えば、相手が約束を守らなかった場合に、どうやって相手に約束を守ってもらうかを証明する方法がなくなってしまいます。離婚協議書があれば、約束したことをいつでも書面で確認できますし、裁判所に行っても証拠として使えます。
有利に離婚!それなら離婚協議書一択
協議離婚というのは、夫婦で話し合って離婚する方法なので家庭裁判所に行く必要はありません。しかし、離婚するときには、お金や子どものことなど、いろいろなことを決めなければいけません。例えば、財産分与というのは、夫婦が持っている財産をどう分けるかということです。慰謝料というのは、浮気などをした方が相手に払うお金です。子どもがいる場合は、親権者というのは、子どもと一緒に住む親のことです。養育費というのは、子どもと別れて住む親が払うお金です。面会交流というのは、子どもと別れて住む親が子どもに会うことです。
これらのことを夫婦で決められない場合は、家庭裁判所に行って調停や審判を受けることもできます。調停や審判というのは、家庭裁判所の人が仲裁してくれる方法です。ただし、注意しなければいけないことがあります。財産分与は離婚の成立から2年間、慰謝料は離婚の成立から3年間しか請求できません。養育費は、子どもが大人になるまで請求できますが、過去に払われなかった分を取り戻すことは難しいかもしれません。また、約束した養育費を5年間払わないと消えてしまうこともあります。そのため離婚する前にしっかり話し合って決めておくことが大事です。
それを離婚協議書という書類に書いておくことで、後からトラブルにならないようにすることができます。離婚協議書には、すべてのことを決めたらそれ以上何も要求しないという約束を書きます。これを清算条項と言います。清算条項を書いて離婚協議書を作った後に協議離婚すると、養育費の特別な出費以外は、お互いに追加でお金を要求することができなくなります。このようにして、離婚協議書を作ることで、お金だけではなく、夫婦の間の権利や義務も確定して安心することができます。離婚協議書を作っておくことで、離婚した後に何か問題が起きても、離婚時の合意内容が離婚協議書に書いてあって、それが証拠になります。
離婚協議書を作るかどうかは、ご夫婦それぞれの判断
協議離婚というのは、夫婦で話し合って離婚する方法です。家庭裁判所に行かなくてもできます。家庭裁判所に行って調停離婚や判決離婚をする場合は、離婚の条件も家庭裁判所が決めてくれるので、それが書かれた調書や判決書ができます。そうすると、離婚の条件もはっきりするので、離婚後も安心ですね。しかし、協議離婚ではそういうことはありません。夫婦で離婚の条件を決めたら、それを離婚協議書という書類に書くかどうかは自分達で決めなければいけません。法律で離婚協議書を作るのは任意とされているので、何も書かないで離婚する夫婦もたくさんいます。
それでは、離婚後の生活を守れるか不安、支払い続けてくれるか心配、など離婚後の生活設計に大きく影響を及ぼす離婚の条件はしっかりと決めて書いておくことで、離婚後もお金のことなどでトラブルにならないように、離婚協議書を賢く作成する夫婦も多くいらっしゃいます。
離婚後に慰謝料請求はハードルが高い
慰謝料は、浮気などをした方が相手に支払お金です。慰謝料は、離婚してから3年以内なら請求できます。離婚するときに夫婦の仲がすごく悪くなっていると、早く離婚したい気持ちが強くなって、話し合わずに離婚届を出しちゃうこともありますよね。少し落ち着いてから考えると、離婚の原因は相手のせいだったと思うようになって、相手にお金を払ってもらいたいと思うこともあります。しかし、離婚した後でも相手が素直にお金を払ってくれるとは限りません。お金を払わせるためには裁判所に行って手続きをしなければいけません。そのときには離婚の原因を証明できるものが必要ですが、それを用意するのも大変です。相手が離婚の原因だと思うなら、離婚する前にちゃんと話し合って慰謝料を決めておくことが重要です。それを離婚協議書に書いておくことで、後からトラブルにならないようにすることができます。
夫婦そろって作成するもの?
離婚協議書を作る目的は、離婚するときの約束をしっかりと確認しておいて、離婚後に困らないようにすることです。
夫婦で合意したことがちゃんと書いてある離婚協議書なら、自分で作ったものでも大丈夫です。相手が離婚協議書を作ることに同意しないときは、家庭裁判所に行って調停をしてもらって、調書という書類を作ってもらうことになります。さらに離婚協議書の書き方によっては、契約の効果が変わることもあります。間違った離婚協議書では、離婚協議書を作った意味がなくなってしまうかもしれません。そのため、きちんとした離婚協議書を作る方法を知っておきましょう。
インターネットの情報には危うさが潜む
インターネットには、離婚協議書の例がたくさん載っています。これを見て自分で離婚協議書を作る方もいます。離婚協議書の例は、初めて離婚協議書を作る方にとっては参考になるかもしれませんが、当事務所ではインターネトの記載例をそのままご夫婦に当てはめて離婚協議書を完成にしてしまうのは、おすすめしません。理由は、離婚協議書の例は一つのパターンにすぎず、ベースとして利用する程度であれば問題はあまりありませんが、離婚協議書の例は法律の知識がない人が作ったものもインターネットに載っているため、ご夫婦の状況や希望を考えて作ったものではないことを知っておかなければなりません。
当事務所では自分で苦労されて作った離婚協議書を持って来られる方もいますが、実際に離婚条件のお話を詳しくおうかがいしていくと、ベースにはできても、修正や変更が必要なことがほとんどになります。しかし、それをベースにお客様のご要望に沿い最良の形に離婚協議書を作成していくお手伝いをさせていただくこともあります。
ネットにあふれる離婚協議書のひな形
離婚協議書を作るときには、インターネットで見つけたサンプルを使うことがあるかもしれません。公証役場で公正証書にするときにも、公証人の方からも、インターネットのサンプルを使っていることに不安があると言われることがあります。インターネットのサンプルは、あまり深い内容にはなっていません。ご夫婦それぞれの事情に合わせられるかどうか分からないです。実際に離婚する夫婦は、一組一組すべて異なります。同じ条件で離婚するご夫婦はいません。離婚するときに決めることは、ご夫婦ごとに違うのが当然で、それぞれの事情にも対応しないといけません。離婚協議書を作るときには、そのような個別のことをしっかり書くことが大切です。
私は離婚協議書を作るときには、お客様の個別事情に合わせて細かく決めていきます。離婚協議書の全体を最後に整えることも、仕上げ段階で必要です。私はたくさんのご夫婦の離婚協議書の作成をお手伝いしてきましたが、すべてオーダーメイドです。決まった型通りの離婚協議書はなく、離婚協議書にご夫婦の合意内容として記載できることでも、公正証書には載せられないものもあります。簡潔に書こうとするほど高度なスキルと膨大な情報の中からの選定技術が必要です。離婚協議書を作ろうと思ったら、離婚する条件を具体的に整理する方法も含めて、専門家にお任せすることも一つの選択肢にすることをおすすめいたします。
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