
佐々木 裕介(弁護士・行政書士)
「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。
離婚するときに、離婚協議書というものを作ります。離婚協議書というのは、離婚するときに夫婦がどういう条件で別れるかを書いたものです。例えば、財産分与や養育費、親権などです。離婚協議書は、同じ内容のものを二つ作って、夫婦二人で名前と印鑑を押します。そして、それぞれが一部ずつ持って保管しておきます。離婚した後に、相手が約束したことを守らなかったり、何か問題が起きたりしたら、離婚協議書で決めたことを確認できます。
正しく署名押印する方法
離婚協議書とは、離婚するときに、お金や子どものことなどをどうするかを決めて書いた書面です。離婚協議書は、夫婦が合意したことを証明する大事な書面なので間違いがないように作っておく必要があります。離婚協議書を作るときには、以下のことに気をつけてください。
離婚協議書に署名する名前は、離婚前の戸籍上の名前にします。押印する印鑑は普段使用している認印で問題ないかと思いますが、ゴム印については使わないようにしてください。離婚協議書は、2部作成して、それぞれが1部ずつ保管しましょう。もし、なくしてしまったら、相手にコピーをお願いするか、状況によってはもう一度作り直しになったりするケースも少ないですがあります。離婚協議書は離婚届と異なり、役所に提出する必要はありません。自分たち以外の人に対して見せる必要はないですが、離婚後に事情があるケースなどに公的な手当の申請や住宅ローンなどの手続きで金融機関に対して必要になる場合があります。
署名する氏名について
署名する名前は、離婚前の戸籍上の名前にします。これから離婚届を出すのであれば、まだ婚姻中の名前なので、その名前で署名します。もし、旧姓に戻るとしても、それは離婚が成立した後になります。もし、離婚した後に離婚協議書を作るのであれば、すでに婚姻が解消しているので、離婚後の名前で署名します。もし、旧姓に戻ったら、その名前で署名します。特に、奥さんは離婚の前後で名前が変わることが多いです。だから、署名するときには、自分の戸籍上の名前を確認してくださいね。
複数枚になったら契印
離婚協議書は、決めるべきことが多いので、一般的には離婚協議書が二枚以上になります。そのとき、氏名欄に署名するだけではなくて、ページを繋げる部分にも夫婦の印鑑を押します。この印鑑のことを「契印」と言いますが、契印はページを繋げる部分全てに夫婦両方が押します。契印をすることで、離婚協議書が何枚もあっても一つのものだと確かめることができます。もし、契印を押さないで離婚協議書をバラバラにしておくと、氏名欄や押印のないページを後から違う内容のページに変えることで偽造することが可能になってしまいます。このような離婚協議書の作成方法にも、注意しなければなりません
離婚協議書はどこかに提出するの?
離婚協議書に二人で決めた離婚条件を書いて、最後に夫婦で署名押印すると離婚協議書の作成は完了になります。離婚協議書は役所に提出するものではありません。ただ、離婚後に特別な事情があって、国や自治体からお金をもらうときには、離婚協議書のコピーを見せることがあります。また、家を買ったり借りたりするときには、銀行などに離婚協議書の原本を見せることがありますので大切に保管するようにしましょう。
離婚協議書が完成したら離婚届にも署名と押印をして役所に提出すれば、離婚が成立します。離婚を急ぐあまり、勢いで離婚を推し進めてしまってから離婚協議書を作成しようと思っても、離婚後に元夫婦で話し合うことや離婚条件を決めていくことは、予想以上にハードルが高くなります。そのため、離婚届はできる限り離婚協議書の内容が全部決まるまでは、記入しない方が良いでしょう。離婚協議書が完成した後、離婚届に署名押印をして離婚の準備がすべて揃います。離婚届けを役所に提出して受理されて離婚が成立します。このときから離婚協議書の内容が効力を持ちます。
公正証書にするメリット
離婚協議書は、公正証書にすることもできます。公正証書にすると、離婚後に相手がお金を払わなかったり、約束を守らなかったりしたときに、裁判をしなくても強制的に実行できるようになります。公正証書にするには、公証役場で公証人に書面を作成してもらう手続きをします。
離婚後にお金の問題や子どもの問題が起きたときに、離婚条件を決めた離婚協議書の内容を相手に守ってもらえる保証はどこにもありません。そのため相手が約束を破ったり、事情が変わったりしたら、離婚協議書の内容を変更したり、履行を強制したりすることが必要になるかもしれません。そうしたときに役立つのが離婚協議書を公正証書にすることです。公正証書にすると、相手がお金を払わなかったり、約束を守らなかったりしたときに、裁判をしなくても強制的に実行できるようになります。公正証書があれば、相手の財産を差し押さえることができます。
また、公正証書は公証役場で保管されます。公証人が作成するので偽造や変造のリスクが低下しますし、原本が公証役場に保管されるので紛失のおそれもなくなります。離婚協議書を公正証書にするためには、相手の同意が必要です。離婚の話し合いをするときには、完成した離婚協議書を公正証書にするということを相手に同意してもらいましょう。離婚協議書を公正証書にするときは、手数料や時間がかかりますが、それ以上のメリットがあります。離婚後に安心できるために、公正証書にすることをぜひ検討してみてくださいね。
離婚協議書を失くしてしまった
もし、離婚協議書をなくしてしまったらどうするのでしょうか?という質問もよく受けますが、その場合、まずは相手に連絡をとって相談してみましょう。相手がOKしてくれれば、離婚協議書のコピーをもらうこともできるでしょう。しかし、離婚後のことなので、相手も新しい生活を始めており、状況によっては応じてくれないケースもあります。
上記のようなことになって困らないためには、最初から離婚協議書を公正証書にすることをおすすめします。公正証書は公証役場で作成する書類です。公正証書にすると、相手がお金を払わなかったり、約束を守らなかったりしたときに、裁判をしなくても強制的にお金を回収することができるようになります。公正証書は裁判所の判決と同じ効力があります。公正証書があれば、相手の財産を差し押さえることができます。また、公正証書は公証役場で保管されます。万が一、自分の持っている離婚協議書を引っ越しなどで紛失してしまっても、公証役場で再発行してもらえます。
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