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佐々木 裕介
チャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所 代表
初回30分の無料相談を実施しています。
チャイルドサポートは、子連れ離婚と養育費の取り決め・回収を取り扱う法律事務所・行政書士事務所です。
離婚後の回収まで一つの窓口で対応します。ぜひご相談ください。

外国籍の配偶者と離婚したら、相手の在留資格はどうなるか

外国籍の配偶者と離婚した場合の在留資格を解説する記事のアイキャッチ

外国籍の配偶者との離婚のご相談では、この質問がよく出ます。「離婚したら、相手は日本にいられなくなるのですか」。外国籍の側からは「離婚したら帰国しなければならないのですか」という形で出ます。

離婚したからといって、在留資格が自動的になくなるわけではありません。 在留カードがその日に使えなくなることもありません。ただし、離婚の日から動き出すものはあります。何が動き出すのかを、条文にそって整理します。

目次

期限があるのは、届出です

「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「家族滞在」のいずれかの在留資格を配偶者の身分で持っている方は、離婚または死別の日から14日以内に、出入国在留管理庁長官に届け出なければなりません。入管法19条の16第3号が定めています。

オンライン、郵送、地方出入国在留管理局の窓口のいずれでも行えます。

この届出について、誤解されやすい点が2つあります。

罰則があります。 届出をしなかった場合は20万円以下の罰金(入管法71条の5第3号)。虚偽の届出はさらに重く、1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金です(同法71条の2第1号)。

一方で、この届出をしなかったこと自体は、在留資格の取消事由ではありません。 取消事由は入管法22条の4第1項に列挙されていますが、19条の16の不届出はそこに入っていません(住居地の届出を怠った場合は8号〜10号に入っています)。期限内に出すべき理由は、罰則を避けることと記録をきれいにしておくことであって、「出さないと在留資格を失うから」ではありません。

なお、永住者・定住者・就労資格をお持ちの方には、この届出義務はありません。 婚姻から生じた在留資格ではないからです。

在留資格が取り消されるのは、どういう場合か

読むべきなのは入管法22条の4第1項7号です。

要約すると、日本人の配偶者等(配偶者の身分によるもの)または永住者の配偶者等(同)の在留資格を持つ方が、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留している場合に、法務大臣は在留資格を取り消すことができる——ただし、正当な理由がある場合を除く、というものです。

この一文には、実務上重要な要素が4つ入っています。

「できる」であること。 取消しは裁量処分です。6か月の要件を満たしたからといって、法律上当然に在留資格がなくなるわけではありません。

「継続して6月以上」。 起算点は離婚届を出した日ではなく、夫婦としての実体がなくなった時点です。離婚前に長く別居していた場合と、離婚届を出す日まで同居していた場合とでは、状況が違います。

「正当な理由がある場合を除く」。 条文自体が例外を用意していて、その中身は定義されていません。家庭裁判所の調停が係属している場合や、配偶者からの暴力を理由に別居している場合が、実務上ここに当たり得る典型です。

7号の中にある除外。 7号は、日本人の子として出生した者または日本人の特別養子の身分を兼ねている方を、明文で除外しています。配偶者であると同時に日本人の子である方は、そもそも7号の対象になりません。

取消しになっても、その日に帰るわけではありません

取消しの前には、意見の聴取が行われます。本人または代理人が出頭して、意見を述べ、証拠を提出することができます(入管法22条の4第2項・4項)。

仮に取消しとなった場合でも、30日を超えない範囲で出国のために必要な期間が指定されます(同条7項)。即日退去ということにはなりません。

条文の中に安全弁が置かれています

入管法22条の5は、あまり知られていない規定です。

法務大臣は……同項第七号に掲げる事実が判明したことにより在留資格の取消しをしようとする場合には、第二十条第二項の規定による在留資格の変更の申請又は第二十二条第一項の規定による永住許可の申請の機会を与えるよう配慮しなければならない。

出入国管理及び難民認定法22条の5

つまり、7号(配偶者としての活動を行っていない)を理由に取り消そうとするときは、変更申請または永住許可申請の機会を与えるよう配慮する義務が法務大臣にあります。

⚠️ これは「配慮する義務」であって、許可を約束するものではありません。 期間を与える義務でもありません。それでも、制度が「離婚した配偶者はそのまま帰る」という前提で作られていないことを示す条文です。

離婚後に取り得る在留資格

在留資格の変更は、入管法20条による申請です。許可の基準は同条3項に定められていて、「当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り」許可することができる、とされています。裁量的な基準であり、判断の材料は提出された書類がすべてです。

定住者

入管法の別表第二は、定住者を「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」と定義しています。条文上はこれだけで、中身は告示と運用によります。

離婚した外国籍の親について実務上よく知られているのは、日本国籍の子を現に養育しているという類型です。

ここで注意していただきたいことがあります。見られるのは、現に監護養育している実態です。 同居しているか、生活費を負担しているか、実際に子を育てているのは誰か、という点です。

2026年4月の改正により、離婚後も父母双方を親権者と定めることができるようになりました。親権を持っていることと、現に子を育てていることは、これまで以上にはっきり別の事柄になっています。 そして、この類型が見ているのは後者です。

→ したがって、離婚の際に子について何をどう取り決めるかは、在留資格の問題と切り離せません。 取り決めの内容が、後に示すことになる資料そのものになります。

そのほかの選択肢

  • 就労資格 — 勤務先と要件が整うなら、子の状況に左右されない分、見通しは立てやすい選択肢です
  • 永住許可 — 婚姻中にすでに要件に近づいていた場合

どれが許可されるかを、事前に申し上げることはできません。 断定できると言う人がいれば、それは分からないことを言っています。

子の在留資格は、子自身のものです

日本人の子として出生した方は、「日本人の配偶者等」を子として自分の資格で持っています。親を通じて持っているのではありません。父母の離婚によって影響を受けるものではありません。子が日本国籍であれば、そもそも在留資格の問題は生じません。

ご自身が日本にいられるかという問題と、お子さんが日本にいられるかという問題は、別の規定で決まります。 ここは混同されやすいところです。

日本人配偶者の側に、申し上げておきたいこと

日本人配偶者の側からのご相談で、ときどき出てくる考え方があります。「離婚に応じなければ在留資格がなくなる」「条件をのまなければ帰国することになる」という形で、相手の在留を交渉材料として使えないか、というものです。

当事務所はその方針をおとりしません。 理由は2つあります。

ひとつは、そもそも適切ではないからです。

もうひとつは、実際上、ご自身の不利益になることが多いからです。 相手が日本にいられなくなった場合、次のことが起こります。

  • 養育費の回収が著しく難しくなります。 2026年4月に新設された法定養育費(民法766条の3。2026年4月1日以後の離婚に限ります)も、先取特権による差押え(民法306条3号・308条の2)も、手続の連結(民事執行法167条の17)も、日本国内に差し押さえられる給与や財産があることが前提です。相手が国外にいて日本に財産がなければ、いずれも使えません
  • 親子交流が事実上できなくなります。 民法817条の13(別居している父母と子の交流)も、実際に会える距離にいることが前提です

相手が日本で働き、日本で暮らしていることは、養育費を受け取り続けるための条件でもあります。 離婚の条件を詰めるときには、この点を含めてお考えいただくほうが、結果としてお子さんのためになります。

2つの日付を見てください

同じではない2つの日付があります。離婚が成立する日と、現在の在留期間が満了する日です。

在留カードに十分な期間が残っている状態で申請するのと、期限が迫ってから申請するのとでは、置かれる立場が違います。離婚届をいつ出すかを決める前に、その後どれだけの期間が残るかを確認しておいてください。 ここは、後から気づかれることがいちばん多い点です。

当事務所ができること、できないこと

当事務所は離婚を取り扱う法律事務所・行政書士事務所です。離婚に関連して在留資格の問題が生じる場合、ご相談いただけます。 届出の時期、子について何を取り決めるか、後に何を資料として示すことになるか——これらが離婚の進め方とどう関わるかをご説明します。

入管への申請の取次ぎは行っておりません。 在留資格変更や永住許可の申請は、ご本人が地方出入国在留管理局に出向いて行っていただくことになります(区分によってはオンラインも可能です)。当事務所でお手伝いできるのは、申請が何によって判断されるかをご理解いただくこと、資料を一緒に整理すること、そして離婚のほうが申請の足を引っ張らないように条件を組み立てることです。

入管業務を主に扱う実務家におつなぎしたほうがよい事案であれば、そのように申し上げます。

初回のご相談で申し上げること

  • 14日以内の届出と在留期間の満了、いま実際に迫っているのはどちらか
  • 入管法22条の4第1項7号が、そもそも当てはまり得るのか。当てはまるとすれば、いつから起算されるのか
  • 現実的な選択肢はどれで、何を資料として示すことになるか
  • 子についての取り決めがそこにどう影響するか。合意にあたって注意すべき点
  • 当事務所ではお答えできないことと、どこに確認すべきか

外国籍の配偶者との離婚について、当事務所では弁護士・行政書士として、離婚協議書や公正証書の作成から家庭裁判所の手続、強制執行まで一つの窓口でお受けしています。初回30分のご相談は無料です。

英語でお読みになりたい方には、同じ論点を英語で書いた記事があります。Divorce and Your Status of Residence in Japan


この記事で触れた出入国管理及び難民認定法および民法の条文は、e-Gov法令検索でご確認いただけます。在留資格の許否は個別の事案ごとに判断されるものであり、この記事は一般的な制度の説明です。

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この記事を書いた人

弁護士(第二東京弁護士会・登録番号48715)。2008年 ニューヨーク州立大学バッファロー校 政治学部 卒業、2012年 慶應義塾法科大学院 卒業・司法試験合格、2013年 弁護士登録。チャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所 代表。株式会社チャイルドサポート(法務大臣認証 認証紛争解決事業者・認証番号第184号)代表取締役。離婚協議書・離婚公正証書の作成支援と離婚ADRを中心に、協議離婚の当事者を支援している。

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