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佐々木 裕介
チャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所 代表
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外国籍の夫と離婚|共同親権は選べる?2026年改正と準拠法

外国籍の夫と離婚した場合に共同親権は選べるか。2026年民法改正と準拠法

2026年4月1日の民法改正で、離婚後も父母の双方を親権者と定めることができるようになりました。配偶者が外国籍の場合、この選択をどう考えればよいのでしょうか。

この記事では、まずどの国の法律で親権が決まるのかを整理し、そのうえで相手が外国籍であることが判断にどう影響し得るのかを、分かっている範囲でお伝えします。

あらかじめ申し上げておくと、渉外の事案に固有の判断基準が示されているわけではありません。裁判所や法務省が公表している解説にも、外国籍の当事者を想定した記述はほとんど見当たりません。したがって、この記事でも断定を避けている部分があります。

目次

まず、どの国の法律で決まるのか

離婚そのもの

法の適用に関する通則法27条は、離婚について25条を準用したうえで、ただし書で「夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による」と定めています。

つまり、日本に住んでいる日本人の方が当事者であれば、離婚は日本法によります。

親権

親権については通則法32条が、「親子間の法律関係は、子の本国法が父又は母の本国法と同一である場合には子の本国法により、その他の場合には子の常居所地法による」と定めています。

お子さまが日本国籍を持ち、母が日本人であれば、子の本国法(日本法)と母の本国法(日本法)が同一ですから、親権は日本法で判断されることになります。お子さまが日本国籍を持たない場合でも、日本に常居所があれば日本法によることになります。

したがって、相手が外国籍であっても、2026年4月の改正後の日本の民法が適用される場面は多いとお考えください。

2026年4月から、離婚後の親権はどう決めるのか

民法819条1項は「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定める」と規定しています。改正前は父母のどちらか一方だけが親権者になりましたが、現在は双方を親権者と定めることもできます。

裁判所が判断する場合の枠組み

協議がまとまらず裁判所が判断する場合、民法819条7項が判断の枠組みを定めています。構造は二段階です。

第一段階として、次のいずれかにあたるとき、または双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、必ず一方を親権者と定めなければなりません(必要的単独親権)。

  • 1号 父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき
  • 2号 父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無、協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき

2号の暴力等には、身体的な暴力に限らず、精神的・経済的・性的なものも含まれると解されています。また「協議が調わない理由」も考慮要素とされており、虚言や重大な約束違反を繰り返す、相手の人格を否定する言動を執拗に繰り返すといった事情も、この事由にあたり得るとされています。

第二段階として、上記にあたらない場合には、①父母と子との関係 ②父と母との関係 ③その他一切の事情を、子の利益の観点から総合的に考慮して判断します。

親権者と監護者の違いについては親権者と監護者の違いについて〜離婚後の戸籍と氏の変更で解説しています。

⚠️ ここで大切なのは、共同親権と単独親権に原則と例外の関係はないということです。「改正されたのだから共同親権が原則」ということではありません。

相手が外国籍であることは、判断にどう影響するのか

ここからは、公表されている解説に明確な答えがない領域です。制度の仕組みから考えられることをお伝えしますが、断定はできません。

共同親権は「重要な事項を父母で決めていく」ことを意味します

双方を親権者と定めた場合、お子さまの進学先や大きな医療行為といった重要な事項については、原則として父母が共同で決めることになります。つまり、離婚した後も、その都度連絡を取り、話し合って決める関係が続くということです。

この点を踏まえると、渉外の事案では次のような事情が現実の問題になります。

  • 一方が母国に帰った場合、時差のある中で、その都度の連絡と合意ができるか
  • 共通して使える言語があるか。通訳を介さないと意思疎通ができない状態が続かないか
  • 相手の在留資格が失われて帰国が避けられない場合、連絡手段が維持できるか
  • お子さまが将来どちらの国で生活するのかについて、父母の考えが大きく違わないか

🔴 ただし、これらの事情が819条7項2号の「共同して親権を行うことが困難」にあたるかどうかについて、裁判所の考え方は示されていません。距離や言語の違いだけを理由に単独親権になる、という説明は根拠がありません。逆に、外国籍だから共同親権が認められない、ということもありません。

参考として、裁判所の解説では、共同親権の前提となる父母の協力関係について「最低限の意思疎通ができれば足り、第三者を介する程度でもよい」という趣旨の整理がされています。連絡が取りにくいこと自体が直ちに障害になるわけではない、という理解につながります。

相手の国が日本の共同親権をどう扱うかは、別の問題です

日本で双方を親権者と定めたとしても、その内容が相手の国でどのように扱われるかは、その国の法律によります。国によって親権や監護に関する制度は大きく異なります。

お子さまを連れて相手の国に行く場合や、相手がお子さまを母国に連れて行く可能性がある場合には、この点も含めた検討が必要です。一般論としてお答えできる範囲を超えますので、個別にご相談ください。

離婚そのものが相手の国で有効と扱われるかについては、外国籍の配偶者との協議離婚|相手の国で有効になるかで整理しています。

すでに離婚している場合、共同親権に変更できるのか

2026年3月31日までに離婚し、単独親権と定めた方から、共同親権に変更できないかというご質問をいただくことがあります。

申立てをすること自体はできます。ただし、実際に認められるかは別で、率直に申し上げて相手が反対している事案では容易ではありません。

裁判所の解説では、次のように整理されています。

  • 民法が改正されたということ自体は、変更を認める理由(事情の変更)にはならない
  • 判断の中心は、離婚したときの状況ではなく離婚した後の状況。離婚後に父母がどのように連絡を取り合い、お子さまのことを話し合ってきたか
  • 仮に離婚前に「改正後は共同親権に変更しよう」と合意していたとしても、それだけで当然に変更が認められるわけではなく、あらためて調停で合意するか、家庭裁判所の審判が必要
  • 必要的単独親権事由(前述の1号・2号など)があれば、そもそも変更できない

つまり、これから離婚する方が共同親権を選ぶ場合よりも、さらに高いハードルを越える必要があります。相手が同意しているのであれば調停での合意という道がありますが、相手が反対している場合には、離婚後に積み重ねてきた具体的なやり取りを示していくことになります。

まとめ

  • 相手が外国籍でも、日本に住む日本人が当事者であれば、離婚も親権も日本法で判断される場面が多い
  • 2026年4月から、離婚後も双方を親権者と定めることができる(民法819条1項)。ただし共同親権と単独親権に原則・例外の関係はない
  • 渉外の事案に固有の判断基準は示されていません。距離や言語だけを理由に結論が決まるという説明には根拠がありません
  • 日本で定めた親権を相手の国がどう扱うかは、その国の法律による
  • すでに離婚している場合の変更は、相手が反対している事案では容易ではありません

離婚の準備全般については離婚の準備は何から始めたらいいの?、離婚後の子の氏と戸籍については離婚後の子の姓と戸籍|父が外国籍の場合もあわせてご覧ください。

当事務所は協議離婚の手続を主に取り扱っています。外国籍の配偶者との離婚では、通常の離婚とは違う確認事項があります。初回30分の無料相談で、事情をうかがったうえでご案内します。

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この記事を書いた人

弁護士(第二東京弁護士会・登録番号48715)。2008年 ニューヨーク州立大学バッファロー校 政治学部 卒業、2012年 慶應義塾法科大学院 卒業・司法試験合格、2013年 弁護士登録。チャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所 代表。株式会社チャイルドサポート(法務大臣認証 認証紛争解決事業者・認証番号第184号)代表取締役。離婚協議書・離婚公正証書の作成支援と離婚ADRを中心に、協議離婚の当事者を支援している。

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