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佐々木 裕介
チャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所 代表
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チャイルドサポートは子連れ離婚と養育費回収の専門家です。
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親権者と監護者の違いについて~離婚後の戸籍と氏の変更~

親権者を争うイメージ画
子供の手を引っ張る夫婦

離婚は、夫婦だけでなく、子どもにとっても大きな影響を与える出来事です。婚姻している間は父母による共同親権になりますが、離婚するときは単独親権になりますので、子どもの親権者をどちらの親にするか決める必要があります。親権者は監護者を兼ねますが、父母の合意があれば分けることもできます。しかし、親権者と監護者を分けると、将来に子どもの問題で父母が対立する可能性が高まります。そのため、離婚するときには、子どもの親権や監護についてよく考えて決めることが大切です。また、離婚後子供の戸籍や姓についても考えなくてはいけません。今回は子供の親権や戸籍、姓についてお話したいと思います。

この記事を読んでわかること

  • 親権とは何か?
  • 親権と監護権の違い
  • 戸籍について
  • 子供の戸籍と氏の変更について
  • 婚氏続称について
この記事の監修

佐々木 裕介(弁護士・行政書士)

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「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。

目次

親権とは

日本では、夫婦が結婚している間は、子供の親権を二人で共有していますが、夫婦が離婚するときは、子供の親権をどちらか一方に移す必要があります。これを単独親権制度と呼びます。単独親権制度では、親権者となった方が、子供の成長と教育に責任を持ち、子供の財産を管理する権利と義務を持ちます。親権の内容は、二つの権利に分けられます。一つは、財産管理権というもので、子供のお金や財産を適切に使ったり、貯めたりする権利です。もう一つは、身上監護権(監護権)というもので、子供の名前や住所を決めたり、教育やしつけをしたり、学校や病院に通わせたりする権利です。親権者は、子供の幸せと将来のために、これらの権利と義務を果たさなければなりません。

  • 財産管理権:子どもの財産を保護し、子どもの法律行為(契約や相続など)に同意したり代理したりする権利と義務
  • 身上監護権(監護権):子どもを健全に育てるために必要な措置(監護・教育・居所指定・職業許可など)を取る権利と義務

親権と監護権

協議離婚の際、夫婦で話し合って子供の親権者を決めますが、通常は一方の親だけが親権者になります。 しかし、例外的に、親権者と、監護権者(親権の中の一部)を分けて指定することがあります。例えば、親権を持つのは母親、監護権を持つのは父親と指定したとします。この場合、子供と暮らすのは監護権者である父親になります。 親権と監護権の違いを分かっていない母親は、親権を取れば子供と暮らせると勘違いしてしまうことがあります。離婚が成立してから、自分の間違いに気づいて驚くことになります。このようなトラブルを避けるためには、親権と監護権の意味をしっかり理解しておく必要があります。

親権と監護権を分けて指定するメリット・デメリット

ではなぜ親権と監護権を分けて指定する場合があるのでしょうか?以下のようなメリットがあるため、親権者と監護権者を分けて指定することがあります。しかしデメリットもあります。メリットとデメリットにについてよく理解した上で親権について考えなくてはいけません。

メリット

子供がいる夫婦が別れるとき、親権を決めることは大切な問題です。 しかし親権をどちらも譲らなくて、話し合いが進まないと、離婚が成立しません。そんなときに、親権と監護権を分けて持つことで早期に離婚を成立させることができます。これは、子供にとっても両親との関係を保ち続けやすくなり、心の安定につながるというメリットがあります。

デメリット

親権と監護権を別々にすると、離婚しても元配偶者とやりとりしなくてはいけないというのがデメリットです。子供が法的なことをするときには、親権者の承諾が必要なのですが、子供と一緒に暮らしている監護者は法的なことを代わりにできないので親権者に連絡する必要があるからです。

親権者になるということ

離婚するときに、自分が親権者になるかどうかはよく考えなければなりません。「自分の気持ち」と「子供の利益と幸せ」を最優先にして判断しましょう。その上で親権者になるという選択をしたならば、そのための準備が非常に重要です。何よりも、親権者になりたいと思っているならば、子供を相手に渡してはいけません。たとえば、離婚に向けて別居をするという段階になったときに、一時的にでも子供を残して自分だけ家を出るということはしないでください。逆に相手が家を出るときには、子供を引き渡さないように気をつけることも大切です。一度子供と離れてしまうと、後で親権者になりたいと言っても、相手に拒否されてしまう可能性が高いからです。

離婚後の見通し

自分の今後の生活についてしっかりと見通しを立てることが大切です。そのためには、今後の生活費について具体的に算出する必要があります。生活費とは、家賃や食費、被服費、学費など、日々の生活にかかるさまざまな費用のことです。これらの費用は、離婚後にどのように変わるのか、どのように工夫して節約できるのか、などを考えておくことが望ましいです。特に、子供がいる場合は、子供の生活費の半分は養育費をもらうことを考えなくてはいけません。養育費とは、離婚後に親権を持たない方が、親権者に対して子供の養育に必要な費用を支払うことをいうものです。養育費をいくらにするのかは、協議離婚であれば夫婦の話合いで決められますが、家庭裁判所の算出表も参考になります。家庭裁判所の算出表とは、養育費の額を決める際に、家庭裁判所が参考にする基準のことです。この算出表は、収入や子供の年齢、必要経費などに応じて、養育費の目安を示しています。また、子供の進学の際には、入学金や授業料、教科書や制服などの教材費など、様々な出費が予想されます。その際の出費をどうするかも、離婚前に話し合っておく必要があります。そして、たとえ離婚しても、今後子供をどのように育てていくかを夫婦二人で話し合う必要が出てきます。またそうした方が、子供の精神的な安定にもなりますし、金銭の負担が親権者のみにかかるということを防げます。離婚は、夫婦だけでなく、子供にとっても大きな影響を及ぼすことです。そのため、離婚を決める前に、生活費や養育費などの金銭面だけでなく、子供の心のケアや教育の方針などの育児面についても、十分に考慮することが必要です。

親権者を決める基準

親権は、夫婦で話し合って決めることができれば、そのまま離婚届を提出することができますが、親権をめぐって意見が合わない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。調停とは、家庭裁判所の調停委員という専門家が、夫婦の話を聞いて、親権や養育費などの離婚条件について、双方が納得できるように仲介する手続きです。しかし、調停でも合意に至らなかった場合は、離婚裁判となり、裁判官が親権者を決定することになります。調停や裁判で親権を決めるときに、最も重要視されるのは、子供の利益と幸福です。そのため、以下のような点が判断の基準となります。まず、どちらの親が子供と同居しているかということです。子供と一緒に暮らしている親は、子供の環境や生活に影響を与えることができるので、親権者として有利になります。次に、日常的にどちらの親が主に子供の世話をしているかということです。子供の食事や着替え、学校や習い事の送り迎えなど、普段から子供の面倒を見ている親は、子供との関係が強く、親子の愛情が深いと考えられます。そのため、親権者として優先されます。また、子供の年齢も判断要素のひとつです。胎児の場合は、母親が親権者になるのが原則です。それは、胎児は母親の体の中にいるので、母親の健康や安全が胎児の利益に直結するからです。10歳以下の場合も、母親が親権者になることが多いです。それは、この年齢では、母親が主に子供の世話をしており、子供との関係が密であることが多いからです。これは一般的な傾向であり、必ずしも母親が親権者になるというわけではありませんが、離婚原因をつくったのが母親であっても、愛情を子供に注ぎ、食事など日常の世話をして子育てをしていれば、母親が優先されます。15歳以上の場合は、子供自身の意思が尊重されます。子供がどちらの親と暮らしたいかという希望は、親権者を決める際に大きな影響を与えます。

離婚後の戸籍

離婚時には親権について決定したら、戸籍や氏についても考えなくてはいけません。妻が親権者になる場合は、新たに戸籍を作らなければなりません。

戸籍とは

戸籍とは、国民の身分や家族関係を公式に証明する書類です。戸籍は、夫婦とその子どもたちで一つの家族として登録されます(戸籍法6条)。戸籍には、最初に“筆頭者”という人が書かれます。この人は、結婚したときに名字が変わらなかった方の配偶者です。日本では、結婚するときに女性が男性の名字になることが多いので、戸籍の筆頭者は男性になることがほとんどです。戸籍は、自分の本籍地がある市区町村の役場で管理されており、戸籍法に従って届け出をすると登録や変更ができます。

復籍

離婚すると原則結婚前の戸籍に戻ります。この手続きを復籍と言います。結婚した時、氏を変更しなかった方(筆頭者)は、離婚後に戸籍の移動はありません。大概は妻が戸籍から抜け、夫はそのままの戸籍になります。そして夫の戸籍の元妻の欄には、「除籍」という記載がされます。

新しく戸籍をつくる

復籍せず、新しく戸籍をつくる場合もあります。「子供がいる場合」「すでに両親が他界している場合」などはあらたに戸籍をつくります。なぜ「子供がいる場合」にも新たに戸籍を作らなければならないのかというと、法律上、戸籍には2代(親と子)しか入れないからです。手続きとしては離婚届の「婚姻前の氏に戻る者の本籍」欄で「新しい戸籍を作る」にチェックします。

子供の戸籍と氏

離婚すると子供の戸籍と氏はどうなるのでしょうか?親権者になった方の戸籍と氏に自動的に変わるわけではありません。これは、日本の戸籍法によると、離婚した場合でも、子供は夫婦の婚姻時の戸籍に属し続けると定められているからです。つまり、母親が親権者になった場合でも、子供の戸籍は結婚前の夫の戸籍に入ったままで、氏も夫と同じ氏になります。例えば、山田太郎さんと鈴木花子さんが結婚して、山田太郎さんの戸籍に入り、山田花子さんとなりました。そして、山田太郎さんと山田花子さんの間に子供が生まれ、山田一郎さんと名付けられました。このとき、山田一郎さんの戸籍は山田太郎さんの戸籍に入り、氏も山田になります。その後、山田太郎さんと山田花子さんが離婚し、親権は山田花子さんが持ちました。しかし、この場合でも、山田一郎さんの戸籍は山田太郎さんの戸籍に入ったままで、氏も山田のままです。山田花子さんは、自分の戸籍に戻り、鈴木花子さんとなりますが、子供の戸籍と氏は変わりません。子供の戸籍と氏を変更するには手続きが必要になるので注意しましょう。

子供の戸籍と氏を変更する手続き

母親が親権者であっても、子どもの氏は変わらず、母親と同じになりません。母親の戸籍に子どもを入れるには、法律に基づいて「子の氏の変更許可」の申し立て”をしなければなりません(民法第791条)

「子の氏の変更許可」は、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に、以下の必要書類を用意して申し立てます。

  • 子の氏の変更許可の申立書(15歳以上・15歳未満の2種類あり)
  • 子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 父母の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 子ども1名あたり収入印紙800円
  • 連絡用の郵便切手
  • 印鑑

子の氏の変更許可の申立書は、家庭裁判所のホームページからダウンロードすることができます。ホームページのURLは、[こちら]です。申立書には、次のような項目があります。

  • 申立人の氏名、住所、電話番号
  • 子の氏の変更をする理由・動機
  • 子の氏の変更を希望する子の氏名、生年月日

申立人の署名と押印 申立書と必要書類を家庭裁判所に提出したら、あとは待つだけです。家庭裁判所は、申し立てを審査し、子の氏の変更を許可するかどうかを決めます。申し立てが認められたら、審判書謄本が自宅に郵送されます。審判書謄本は、子の氏の変更が正式に認められたことを証明する重要な書類です。審判書謄本が届くまでには、1週間程度かかります。家庭裁判所の許可を得て、市区町村役場で入籍の手続きをすれば、子供の戸籍と氏が変更されます。子どもが15歳未満であれば親権者が、または15歳以上であれば子供が直接家庭裁判所に申し立てをできます。子どもの氏をどうするべきかは、子どもが中学生以上の場合は、子供の意見も聞きながら考える必要があるでしょう。

婚氏続称

結婚したときに変えた姓は、離婚してもそのまま利用したいという方がいます。仕事や子育てで築いた人間関係は、その姓のままの方が都合がよかったりします。そんな人には「婚氏続称(こんしぞくしょう)」という選択肢があります。離婚しても、結婚時の姓を名乗り続けることができるのです。

手続き

手続きは、届出人の本籍又は所在地の役所に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出して行います。これは役所でもらうことができます。本人確認書類や戸籍謄本などが必要になるので用意しましょう。

期限

離婚届を提出する際に、婚姻時の姓をそのまま使用することが決まっているのならば、離婚届と同時に出すことで出し忘れなどを防げます。しかし、まだその時点で決まっていないのであれば、離婚の日から3か月以内に提出する必要がありますので注意しましょう。

戸籍

「婚氏続称」を選択した場合でも、妻は戸籍からでて、新しい戸籍を作る必要があります。「婚氏続称」をして、子供の戸籍と氏を変更しなかった場合、母親は子供と同じ氏ですが、戸籍は違います。日常生活に問題はありませんが、父親が再婚したりした場合、再婚相手と子供の戸籍が同じになります。

もちろん子供の戸籍を母親の戸籍に移動させることもできます。この場合、家庭裁判所で「子の氏の変更」の手続きをすることになります。「子の氏の変更」手続きという名称ですが戸籍だけ変更する際も「子の氏の変更」手続きになりますので注意しましょう。

チャイルドサポート法律事務・行政書士事務所

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